人生初のフルマラソン

西田ひかるさんと高橋尚子さん



ごんぞう氏にとって人生初となるフルマラソン
いびがわマラソンの日がついにやって来ました。
今までハーフマラソンの経験はかなり積み、
すべて完走している彼。それでも倍の距離となると
どうなるのか見当もつきません。期待と不安の中
午前4時に家を出発しました。


途中コンビニで朝食を買ったりして会場近くに
到着したのは午前6時でした。出掛けに少し
パラついていた雨も上がり、天気は何とかもちそうです。
しかし、何と言っても初めての会場。まず駐車場が
どこなのか分かりません。1万人以上がエントリーしている
この大会、大渋滞を避ける事を考えてなのでしょう、
会場近くには駐車場が設けられておりません。少し
離れた場所に車を止め、そこからシャトルバスで会場入り
するという、「パークアンドライド」方式が採用されていました。
で、私達はしばらく近くをぐるぐるし、一番近いと思われる
「健康広場」駐車場に車を止める事が出来ました。


そこからシャトルバスに乗り、会場まではほんの5分ほどです。
バスから降りて私が真っ先に向かったのは、「応援バス」の
整理券が配布される場所でした。応援バスとは、フルマラソン
折り返し地点まで連れて行ってくれて、通過するランナーを
2度応援できるシャトルバスの事で、先着120名に整理券が
配られる事になっているのです。私達が並んだ時、配布時間の
午前8時までまだ30分以上もあったのに、もう長い列が
出来ていました。で、午前8時になり、私は無事整理券を
手に入れる事が出来ました。整理券についていた番号は
50番で、ちょうど列の半分くらいだったのでしょう。
そして並んでいた最後尾の2〜30人の人達は整理券を貰う事が
出来ず、とても残念そうな様子でした。


それからはメイン会場に移動し、ゲストの西田ひかるさん、
Qちゃんこと高橋尚子さん出席の開会式を見たりしてから
ごんぞう氏はスタート地点へ向かいました。
しかし・・6000人を超えるフルマラソンの出場者・・
本当に凄いです。午前10時に号砲が鳴り響きましたが、
ごんぞう氏の並ぶFブロックはちっとも前に進まず、
後から聞いた話によると、最初の1キロくらいは満足に
走る事が出来なかったそうです。ランナーがすべてスタート地点を
通過したのを見届けて、私は応援バスの発車地点へ向かいました。


応援バスには整理券があったのですんなり乗ることが出来、
ラッキーな事に一番前の一人用座席に座る事が出来ました。
ここから折り返し地点までは40分程の旅となります。
山と川の美しい景色を見たり、時々はコースと並走して
ランナー達に手を振ったりしている内にバスは応援ポイントに
到着しました。バスから降り、沿道に立ち、カメラの
スタンバイをしてごんぞう氏の到着を待ちました。
そして他のランナーの方達を応援しつつふと見ると、
そこにはごんぞう氏の姿が! 思った以上に早い到着に
往路では写真を撮る事が出来ず、それでも彼は私に気付き
手を振ってくれ、私も「頑張ってー」と声援を送りました。
それから5分ほどして折り返してきたごんぞう氏を、
今度は写真に収める事に成功し、ホッと胸を撫で下ろしました。


バスが会場に向けて帰るまで結構時間があったので、
折り返し地点の方へ少し歩いてみました。すると
反対側の道で走るランナー達を応援しているお年寄りが
目に入りました。そのお婆ちゃんは車椅子ではない、
シルバーカー?って言うんでしょうか、車輪のついた椅子に
ちょこんと腰掛け、ガードレールから小さな身体を
乗り出すようにして手を叩き、行き過ぎるランナー達を
一生懸命応援していました。頭には手ぬぐいを被り、
足には長靴を履き、いかにも「優しい田舎のお婆ちゃん」な
感じが滲み出ていたのですが、私が最も惹きつけられたのは
そのお婆ちゃんの表情です。もう、何と言っていいのか
言葉にするのが難しいのですが、とにかく、いい表情なのです。
走っている人達も口々に「ありがとう!」と手を挙げて応え、
中にはわざわざ立ち止まって握手をしていく人もいました。
そんな中、走りながら「ありがとう! ばあちゃん! また
来年も会いに来るからな!」と大声で叫んでいた方が居て
私はその光景を見てジーンとしてしまいました。
ラソン大会でよく聞く感想ですが、「沿道の方々の
温かい応援のお陰で完走出来た」とは本当の事なんだなと
あのお婆ちゃんを見て思ったのでした。あんな温かい優しい
応援をもらったら、誰でも頑張らずにはいられないでしょう。


帰りの応援バスに乗り、メイン会場に戻り、それからすぐ
ゴール地点へと向かいました。ゴール地点ではすでに
たくさんのハーフマラソンのランナー達がゴールしており、
物凄い人達でごった返しておりました。そんな中、何とか
写真を撮れる位置に陣取り、ごんぞう氏のゴールを待ちましたが
中々現れません。折り返し地点でのタイムから言って、
もうゴールしてもいい筈の時間になっているのに、一向に
彼の姿は見えず、反対にごんぞう氏が通過してから大分経って
折り返していった着ぐるみのランナーや、仮装した印象的な
ランナー達がぞくぞくと戻ってくるのを見て「もしかしたら
見落としていてとっくにゴールしてるのかも・・」と思い始め
ゴールゲートの方へ行こうかと思った矢先、私の目にごんぞう氏の
姿が飛び込んできました。もう見るからに疲れきっていて、
足取りは重く、一応走ってはいるのですが、今にも歩きそうです。
ゴールまで10メートル程の距離なのに、彼は後続のランナーに
次々に抜かれ、殆ど歩くようなスピードでゴールゲートを
くぐり抜けました。人波の中を必死にごんぞう氏の元へ行き
フィニッシャータオルを肩に掛け、しゃがみこんでいる彼に
声を掛けました。すると返って来た答えは「つぶれた」でした。
やはり前半で調子よく飛ばし過ぎたのが祟って、後半で脚にキて
30キロ地点でペースがガタ落ちになり、37キロ地点で完全に
脚が止まってしまったそうです。最後の5キロは歩き、止まり、
ストレッチしたりして休み、また歩き・・で、1時間もかかって
しまったそうです。余りの脚の痛みに棄権も考えたそうで・・
そんなごんぞう氏の感想を聞いた私は、想像以上のフルマラソン
過酷さを思い知り、完走出来ただけでもありがたいと思ったのでした・・。


結局ごんぞう氏の記録は  4時間11分(暫定)で、
大会前に「目標は4時間切り」と言っていた彼の理想のタイムは
残念ながら達成する事が出来なかったのですが、何と言っても
初めての挑戦だったのですし、本人も「ペース配分さえ
間違えなければ絶対に4時間切る事が出来た」と言っているので
来年こそは4時間切り出来る事と思います。
しかし応援しているだけで疲れるのに、よくもあんなにも
長い距離を走り続けられるものですね・・。信じられません。